物忘れ外来

物忘れ外来について

「最近、同じ話を繰り返す」「予定を忘れることが増えた」「物の置き場所が分からなくなる」など、もの忘れの悩みは多くの方に起こり得ます。
一方で、もの忘れの背景には 加齢による変化だけでなく、軽度認知障害(mild cognitive impairment;MCI)や認知症、または 脳血管障害・慢性硬膜下血腫・正常圧水頭症など治療につながる原因が隠れていることもあります。

当院では、問診と神経学的診察を基本に、必要に応じて検査を組み合わせて 認知機能の評価を行い、今後の対応(生活の工夫、治療方針、必要時の専門医療機関へのご紹介など)につなげます。

担当医について

  • 院長外来:脳神経外科専門医/認知症サポート医
    もの忘れに関連する疾患を幅広く評価し、必要に応じて検査・治療方針をご提案します。
  • 土曜日認知症専門外来(女性医師):脳神経外科専門医・認知症専門医
    ※土曜日認知症専門外来は、院長外来での評価を経て必要と判断された方のみ受付しています(直接の予約はできません)。

受診をおすすめする症状

次のような変化がある場合は、一度ご相談ください。

  • 同じことを何度も言ったり、聞いたりする
  • 約束や予定を忘れてしまう
  • 財布・鍵など大切なものを失くすことが増えた
  • 料理、買い物、支払い、薬の管理などが難しくなってきた
  • 慣れている場所で道に迷う
  • 以前好きだったことへの興味が薄れた
  • 怒りっぽくなった/疑い深くなった/不安が強くなった
  • 仕事や家事の段取りが以前より難しいと感じる

※ご本人が気づきにくいこともあるため、可能であれば ご家族と一緒の受診をご検討ください。

加齢による物忘れ/MCI/認知症の違い

加齢による物忘れ

体験の一部を思い出しにくくなることはありますが、ヒントがあれば思い出せたり、日常生活が概ね保たれることが多いとされます。

軽度認知障害(MCI)

認知機能の低下がみられるものの、日常生活は大きく保たれている状態です。
MCIの段階で、生活習慣の見直しや合併症の管理、必要に応じた治療・支援につなげることは重要です。
経過には個人差があるため、定期的な評価が役立つ場合があります。

認知症

認知機能の低下により、日常生活に支障が出る状態をいいます。
原因(病型)によって症状の出方や経過が異なります。

認知症の主なタイプ(代表例)

アルツハイマー型認知症

新しい出来事を覚えにくい(近時記憶の低下)から始まることが多く、進行に伴い見当識(日時や場所)や判断力の低下がみられることがあります。

レビー小体型認知症

認知機能の変動(良い時と悪い時がある)、幻視、パーキンソン症状(動作が遅い・手の震えなど)を伴うことがあります。
薬剤の選択に注意が必要な場合があります。

血管性認知症

脳梗塞などの脳血管障害を背景に起こり、症状が段階的に進むことがあります。再発予防(血圧・脂質・血糖などの管理)が重要です。
高血圧は脳血管障害のリスクに関わるため、血圧を適切に管理することは脳卒中予防だけでなく、将来の認知機能低下のリスクを下げる観点からも大切です。
当院では、もの忘れの評価とあわせて、必要に応じて生活習慣病の状態も確認し、生活習慣の見直しや治療方針をご提案します。

前頭側頭型認知症

性格変化や行動の変化、言語障害が前面に出ることがあります。

※これらは代表例であり、実際には混合型(複数の要素が重なる)もあります。

当院で行う評価

当院では、以下を組み合わせて総合的に評価します。

① 問診(ご本人・ご家族)

症状がいつ頃から、どのように変化したか、日常生活で困っていること、服薬状況、生活背景などを確認します。

② 神経学的診察

麻痺や歩行の変化、パーキンソン症状、視線・眼球運動、反射などを確認し、脳神経外科的な観点から原因の見当をつけます。

③ 高次脳機能検査

当院では、作業療法士(OT)による高次脳機能検査を行い、記憶・注意・遂行機能などの状態を評価します。

④ 必要に応じた検査

  • 画像検査(CT/MRI):脳梗塞、慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症などの評価、萎縮の程度など
  • 採血:全身状態、代謝異常、二次性要因の確認 など
  • その他、症状に応じて追加評価をご提案します。

※検査は「全員に行う」のではなく、症状や経過、診察所見を踏まえて必要性を判断しご案内します。

受診前の準備(あると診療がスムーズです)

  • 健診結果(ある方)
  • 服薬内容が分かるもの(お薬手帳、薬の写真)
  • これまでの画像検査(CT/MRI)があれば紹介状や画像データ
  • ご家族から見た変化のメモ(例:いつから、どんな場面で困るか)

このような場合は早めの受診をご検討ください

  • ここ数日~数週間で急に悪くなった
  • 意識がはっきりしない、会話が噛み合わない
  • 片側の手足が動かしにくい、ろれつが回らない
  • 歩き方が急に不安定になった、転びやすい
  • けいれんがあった

※症状が強い場合は、救急車(119)の利用も含め早急な受診をご検討ください。

当院で対応できること・連携について

軽度認知障害(MCI)や認知症が疑われる/診断された場合には、ご本人さま・ご家族さまのご希望や状況に応じて、介護サービスの利用も含めた支援につなげます。
必要に応じて、ケアマネジャー(介護支援専門員)と相談しながら、当院の認知症に特化した通所リハビリ(デイリハ)の利用をご提案することも可能です。

※介護サービスの利用や具体的な内容は、介護保険の手続き・要介護認定・ご本人さまの状態等により異なります。
詳細はケアマネジャーとご相談ください。

評価結果に応じて、生活の工夫、治療方針のご提案、介護サービスや地域連携の案内などにつなげます。
入院治療や高度な専門医療が必要と判断される場合は、症状や病態に応じて適切な医療機関へご紹介し、連携して対応します。