頭痛外来
頭痛は日常的によくみられる症状ですが、原因はさまざまです。
多くは片頭痛や緊張型頭痛などの「一次性頭痛」で、頭痛そのものが病気であり、命に関わることは多くありません。
一方で、脳出血・くも膜下出血・脳梗塞・髄膜炎などが関係する「二次性頭痛(背景に別の病気がある頭痛)」が隠れていることもあります。
突然の激しい頭痛や、発熱・首の痛み、ろれつの回りにくさ/片側の脱力/見え方の異常などを伴う場合は、早めの受診が大切です。
当院の頭痛外来では、問診と神経学的診察を基本に、必要に応じて検査を組み合わせて頭痛の原因やタイプを評価し、症状に応じた治療方針をご提案します。
このような頭痛は早めの受診をご検討ください(危険サイン)
次のような場合は、早めの受診が望ましいことがあります。
症状が強い場合は救急車(119)の利用もご検討ください。
- 突然の激しい頭痛(今までで一番強い、急に始まった など)
- 発熱、首の強い痛み(首が硬い)、強い吐き気を伴う
- 意識がぼんやりする/会話が成り立ちにくい
- ろれつが回らない/片側の手足が動かしにくい/顔がゆがむ
- 見え方の異常(視野が欠ける、二重に見える など)
- けいれんがあった
- 頭をぶつけた後に頭痛が続く・悪化する
- 50歳以降に初めて出てきた、いつもと違う頭痛
- 日ごとに悪化する/夜間や早朝に強くなる/嘔吐を繰り返す
頭痛の主なタイプ
片頭痛(偏頭痛)
- 片頭痛は比較的多い頭痛で、日本の全国調査では有病率が約8%と報告されています。
- 女性に多い傾向があり、同調査では女性の有病率が男性より高い結果でした
- 脈打つような痛み(片側または両側)
- 吐き気、光や音がつらい、動くと悪化する
- 目の前がチカチカするなどの前ぶれ(前兆)を伴うこともあります
治療
発作時は鎮痛薬や片頭痛治療薬を用います(早めのタイミングが大切です)。回数が多い場合は予防療法を検討します。
- 急性期:NSAIDs/アセトアミノフェン、トリプタン、ラスミジタン、リメゲパント など
- 予防:ロメリジン、β遮断薬、CGRP関連抗体薬 など
緊張型頭痛(筋緊張性頭痛・肩こり頭痛)
- 緊張型頭痛は世界的にも頻度が高い頭痛です
- 日本の全国調査では、緊張型頭痛の有病率が 約15%台と報告されています
- 頭全体が締め付けられるような痛み
- 肩こりや首こり、目の疲れ、ストレスが関係することがあります
治療
痛いときは鎮痛薬を使うことがあります。姿勢・睡眠・ストレッチなどで首肩の緊張を和らげる工夫が役立つ場合があります。
- 急性期:NSAIDs/アセトアミノフェン
- 頻回の場合:状況によりアミトリプチリン等を検討することがあります
群発頭痛(疑い)
- 群発頭痛は比較的まれで、人口の0.1%程度(1000人に1人)と報告されています。
- 男性に多い傾向があり、男女比は およそ2.5:1とする報告があります
- ある時期に集中して起こる強い頭痛
- 目の奥がえぐられるように痛い、涙が出る、鼻水が出るなどを伴うことがあります
治療
群発頭痛は治療が他の頭痛と異なるため、疑われる場合は早めの受診が望ましいです。
発作時治療と、発作期を抑える治療を組み合わせることがあります。
- 発作時:高流量酸素、スマトリプタン(皮下注など)
- 予防:ベラパミル等を検討することがあります
薬物乱用頭痛(鎮痛薬の使い過ぎによる頭痛)
- 薬物乱用頭痛は一般人口で約1~2%にみられるとする報告があり、慢性頭痛の方ではより注意が必要です
- 頭痛が続くために痛み止めを使う回数が増え、結果として頭痛が慢性化してしまうことがあります
- 市販薬も含め、鎮痛薬の使用頻度が多い場合は、このタイプが関係していることがあります
治療
使用状況を確認し、頭痛のタイプに合った治療へ組み直します。
自己判断で急に中止せず、医師と相談しながら調整します。(目安:薬剤により「月10日以上」または「月15日以上」の使用が続く場合など)
※薬の選択は、頭痛のタイプ、持病、妊娠・授乳、併用薬などにより異なります。上記は代表例で、最終的には医師が判断します。
※実際には複数の要素が重なることもあります。
当院で行う評価
(受診の流れ)
- 問診
-
- いつから、どのくらいの頻度・持続時間か
- 痛みの性質(ズキズキ、締め付け、突発など)
- 吐き気、光・音、発熱、しびれ、見え方の異常などの伴う症状
- 生活への影響、鎮痛薬の使用状況、月経との関連(女性)
- 既往歴・内服(血液をサラサラにする薬など)
- 神経学的診察
- 麻痺や感覚障害、眼球運動、歩行などを確認し、脳の異常を疑う所見がないか評価します。
- 必要に応じた検査
-
- CT/MRI:脳出血、慢性硬膜下血腫、腫瘍、脳梗塞などの評価
- 状況により採血などを追加することがあります
※検査は「全員に行う」のではなく、症状や診察所見を踏まえて必要性を判断しご案内します。
治療について
頭痛の治療は、タイプや頻度、生活への影響に応じて、次を組み合わせて検討します。
- 急性期治療:痛みが出たときに使用する薬(適切なタイミング・回数が大切)
- 予防療法:頭痛の回数が多い、生活に支障が大きい場合などに検討
- 生活習慣の調整:睡眠、食事、ストレス、姿勢、運動など
- 薬の使い過ぎ(薬物乱用頭痛)が疑われる場合は、薬の整理や治療計画をご提案します
日常生活でできる工夫
- 睡眠リズムを整える(寝不足・寝すぎを避ける)
- 食事を抜かない、脱水を避ける
- 長時間の前かがみ姿勢を減らす(首・肩の緊張対策)
- 鎮痛薬の使用回数が増えてきた場合はご相談ください
受診の目安
- いつもと違う頭痛が続く
- 頭痛が頻回で、日常生活に支障がある
- 市販薬が効きにくい/使用回数が増えてきた
- 吐き気、見え方の異常、しびれなどを伴う
- 頭をぶつけた後の頭痛が続く
頭痛の経過が分かるメモ(いつ・どのくらい・きっかけ・薬が効いたか)や、お薬手帳があると診療がスムーズです。
頭痛体操(1日2分)
頭痛体操とは
頭痛体操は、首や肩まわりの筋肉をほぐし、頭痛を起こしにくい状態を目指すストレッチです。
緊張型頭痛(肩こり頭痛)の軽減に加えて、片頭痛の予防にも役立つとされています。
体操のコツ(いちばん大事)
- 頭(首)をなるべく動かさないのがコツです。首を軸にして、肩と腕を左右交互に回すイメージで行います。
- 肩や腕の力を抜いて、リラックスして行いましょう。
- 体操中に痛みが強くなった場合は、無理をせず中止してください。
体操を控えた方がよいとき
次のような場合は、体操よりも休息を優先してください。
- 片頭痛の発作中
- 激しい頭痛がある
- 発熱を伴う頭痛がある
また、いつもと違う頭痛で、吐き気・ろれつが回らない・手足の動かしにくさ・見え方の異常などを伴う場合は、早めの受診をご検討ください。
やり方(目安:1日2分)
① 肩と腕を大きく動かす(2分)
正面を向き、頭は動かさず、両肩を大きく回すように動かします。首を軸にして肩を回転させ、頭と首を支える筋肉をリズミカルにストレッチします(2分間)。(jhsnet.net)
② 肩を回す(6回)
椅子に座ってもOKです。肘を軽く曲げ、肩を前後に回します。前に回すときは“リュックを背負う”感覚、後ろに回すときは“服を脱ぐ”感覚で行います(6回)。(jhsnet.net)
③ 座ったままできる(オフィス向け)
椅子に腰掛け、両足をそろえ、顔は正面のまま。左右の肩を交互に前へ突き出すように体を回します。デスクワークの合間にも取り入れやすい体操です。(jhsnet.net)
続けるコツ
- 「毎日2分」より、できる日に継続することが大切です。
- デスクワークの方は、1~2時間に1回、軽く肩を回すだけでも役立つことがあります。
受診の目安
頭痛が頻回で日常生活に支障がある、市販薬の回数が増えてきた、いつもと違う頭痛が続く場合は、頭痛外来でご相談ください。
頭痛の記録(頭痛ダイアリー)やお薬手帳があると診療がスムーズです。
頭痛ダイアリー(記録のおすすめ)
頭痛は「いつ・どんな時に・どのくらい・何が効いたか」を記録すると、原因やタイプの見当がつきやすく、治療方針の検討に役立ちます。
紙のメモでも、スマホのメモでも構いません。
記録する項目(目安)
- 日時(いつ起きたか/何時ごろ)
- 痛みの強さ(0~10など、簡単でOK)
- 場所と性質(片側/両側、ズキズキ・締め付けなど)
- 持続時間(どのくらい続いたか)
- 伴う症状(吐き気、光や音がつらい、めまい、見え方の異常など)
- きっかけ(寝不足、ストレス、月経、天候、飲酒、空腹など)
- 服用した薬(薬の名前・量・何回)と効果(効いた/効かなかった)
- 生活への影響(仕事や家事ができたか、横になったか など)
記録のコツ
- まずは 1~2週間、可能な範囲で続けてみてください
- 「痛い日だけ」でもOKです(無理に毎日書かなくて大丈夫です)
- 市販薬も含めて、服用回数が分かるようにしておくと診療がスムーズです
受診時のお願い
頭痛ダイアリーと お薬手帳(または薬の写真) をお持ちいただくと、診療がよりスムーズです。
よくあるご質問(FAQ)
- Q1.
- CTやMRIは必要ですか?
- A.
- すべての頭痛で必要とは限りません。症状や診察所見から必要性を判断し、必要に応じてご案内します。
- Q1.
- 市販の痛み止めを使ってもいいですか?
- A.
- 一時的には有効なことがありますが、使用回数が増えてきた場合は「薬の使い過ぎによる頭痛」も考えるため、早めにご相談ください。